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おおさかはっけん
大阪発見
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《大阪発見(おおさかはっけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,179 字 · 16 頁
そこで、ほっと一安心して、さて「めをとぜんざい」でも、食べまひょか。
大阪の人々の食意地の汚なさは、何ごとにも比しがたい。いまはともかく、以前は外出すれば、必ず何か食べてかえったものだ。だから、法善寺にも食物屋はある。いや、あるどころではない。法善寺全体が食物店である。俗に法善寺横丁とよばれる路地は、まさに食道である。三人も並んで歩けないほどの細い路地の両側は、殆んど軒並みに飲食店だ。
「めをとぜんざい」はそれらの飲食店のなかで、最も有名である。道頓堀からの路地と、千日前――難波新地の路地の角に当る角店である。店の入口にガラス張りの陳列窓があり、そこに古びた阿多福人形が坐っている。恐らく徳川時代からそこに座っているのであろう。不気味に燻んでちょこんと窮屈そうに坐っている。そして、休む暇もなく愛嬌を振りまいている。その横に「めをとぜんざい」と書いた大きな提灯がぶら下っている。
はいって、ぜんざいを注文すると、薄っぺらな茶碗に盛って、二杯ずつ運んで来る。二杯で一組になっている。それを夫婦と名づけたところに、大阪の下町的な味がある。そしてまた、入口に大きな阿多福人形を据えたところに、大阪のユーモアがある。