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てんしゅものがたり

天守物語

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《天守物語(てんしゅものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,593 字 · 42 頁

青空文庫

夫人 ああね。(亀姫に)よく、それで、手鞠をつきに、わざわざここまでおいでだね。

亀姫 でございますから、お姉様は、私がお可愛うございましょう。

夫人 いいえ、お憎らしい。

亀姫 御勝手。(扇子を落す。)

夫人 やっぱりお可愛い。(その背を抱き、見返して、姫に附添える女童に)どれ、お見せ。(手鞠を取る)まあ、綺麗な、私にも持って来て下されば可いものを。

朱の盤 ははッ。(その白布の包を出し)姫君より、貴女様へ、お心入れの土産がこれに。申すは、差出がましゅうござるなれど、これは格別、奥方様の思召しにかないましょう。…何と、姫君。(色を伺う。)

亀姫 ああ、お開き。お姉様の許だから、遠慮はない。

夫人 それはそれは、お嬉しい。が、お亀様は人が悪い、中は磐梯山の峰の煙か、虚空蔵の人魂ではないかい。

亀姫 似たもの。ほほほほほ。

夫人 要りません、そんなもの。

亀姫 上げません。

朱の盤 いやまず、(手を挙げて制す)おなかがよくてお争い、お言葉の花が蝶のように飛びまして、お美しい事でござる。……さて、此方より申す儀ではなけれども、奥方様、この品ばかりはお可厭ではござるまい。

包を開く、首桶。