輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しっちょうき
失蝶記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《失蝶記(しっちょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,072 字 · 44 頁
「吉川十兵衛、おまえはこのままおれを斬らせていいのか、このままおれを斬って、それでなにか得るものがあるのか」
「こいつ」と梓久也が叫んだ。
「待て」と吉川十兵衛が手で制した、「もう逃がすおそれはない、聞くだけは聞こう」
「なんのために」と梓が叫んだ。
「吉川、みんなも聞いてくれ」と主計が云った、「みんなはおれが杉永を斬ったことでおれを斬ろうというのだろう、慥かに、おれは杉永を斬った、しかし、おれが杉永を斬ったということをどうして知った」
梓久也が踏み出そうとした。吉川十兵衛が「止めろ」と叫び、二人が左右から梓を押し止めた。
「おれが杉永を斬ったことは、たった一人しか知ってはいない」と主計は続けていた、「その男がおれを罠にかけて、おれの耳の不具を利用して杉永を斬らせた、真壁綱だと手引きをして、おれにとってはかけ替えのない友を斬らせた、梓久也がその男だ」
「こんなやつの云うことを聞くつもりか」と梓久也が叫んだ、「おれたちはこんなでたらめを聞くためにここへ来たのか」
「云え、云え」と主計はまた梓をまっすぐに指さした、「おれはきさまの罠にかかった、無二の友を手にかけたおれが、きさまを憎まなかったと思うか、梓久也、おれはきさまを斬りたかった、きさまの五躰を寸断してやりたかった、――だが思い直した、きさまがおれを罠にかけたのは利欲