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きぞくはしはらう
奇賊は支払う
海野 十三
線上閱讀海野 十三《奇賊は支払う(きぞくはしはらう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,269 字 · 15 頁
贋夫人にしろ、烏啼の許から返されたのであるから、繭子夫人の解放はすなわち事件の解決である――と、探偵は考えた。それで彼は苅谷氏に辞去の言葉を述べた。
「あ、待って下さい。うちの家内は今何処にいるのでしょう。家内にそういって、家へ連れ戻さねばなりません」
探偵は自分の迂闊を空咳に紛らせておいてから、さて主人の耳に囁いた。
「実はその、繭子夫人を隠匿してあるところと申すのは、私の事務所なんです。そこはいつも私だけが居まして、食料品も料理の道具も揃って居り、寝具もバスもあり、一人の生活には事欠かないのです。私は夫人を私の事務所へ籠っていただいているのです。しかもです、念のためには夫人はすっかり私に変装して居られるのです。ですから御心配には及びません」
「ほう。それは意外でしたね。さすが猫々先生だけあって御名案です。恐れ入りました」
「ですから私はこれから事務所へ戻りまして、夫人をお連れして早速ここへ引返して参ります。暫時お待ち下さい」
探偵は慇懃に、そして自信に満ちた声でいった。
その言葉に間違いはなかった。それから三十分間後に、繭子夫人は無事苅谷邸へ帰着したのだった。