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おんなのけっとう
女の決闘
線上閱讀太宰 治《女の決闘(おんなのけっとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 37,661 字 · 75 頁
その様子が今まで人に追い掛けられていて、この時決心して自分を追い掛けて来た人に向き合うように見えた。
「お互に六発ずつ打つ事にしましょうね。あなたがお先へお打ちなさい。」
「ようございます。」
二人の交えた会話はこれだけであった。
女学生ははっきりした声で数を読みながら、十二歩歩いた。そして女房のするように、一番はずれの白樺の幹に並んで、相手と向き合って立った。
周囲の草原はひっそりと眠っている。停車場から鐸の音が、ぴんぱんぴんぱんと云うように聞える。丁度時計のセコンドのようである。セコンドや時間がどうなろうと、そんな事は、もうこの二人には用が無いのである。女学生の立っている右手の方に浅い水溜があって、それに空が白く映っている。それが草原の中に牛乳をこぼしたように見える。白樺の木どもは、これから起って来る、珍らしい出来事を見ようと思うらしく、互に摩り寄って、頸を長くして、声を立てずに見ている。』見ているのは、白樺の木だけではなかった。二人の女の影のように、いつのまにか、白樺の幹の蔭にうずくまっている、れいの下等の芸術家。
ここで一休みしましょう。最後の一行は、私が附け加えました。