輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おんなはおなじものがたり

女は同じ物語

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《女は同じ物語(おんなはおなじものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,279 字 · 44 頁

青空文庫

広一郎はひきさがった。

よろしい、それならこっちも戦術を考えよう、と彼は思った。父はこれからしぼられるだろうし、相当お気の毒さまであるが、それは御自分の茨を御自分で苅るわけである、「よろしい」と彼は呟いた、「戦術を考えるとしよう」

だがその暇はなかった。彼が両親と交渉しているあいだに、紀伊は屋敷から出ていってしまった。それがわかったのは、彼が寝間へはいったときである。夕餉のときも紀伊がみえず、書斎へ茶を持って来たのも、べつの小間使であったし、寝間の支度は安芸という小間使がした。――広一郎は不吉な予感におそわれ、「紀伊はどうした」とその小間使に訊いた。すると、まるでその質問を待っていたように、母がはいって来て、「今日からこの安芸があなたのお世話をします」と云った。

広一郎はかっとなった。

「母上が暇をおだしになったんですね」

「紀伊は自分でいとまを取ったのです」とさわ女は云った、「あなたはまさか、母を疑うほど卑屈におなりではないでしょうね」

広一郎は頭を垂れた。彼もそこまで卑屈になりたくはなかった。紀伊は同じ城下町にいるのである、会おうと思えば茗荷屋へゆけばよいのだ。