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じょせいのかくほん

女性の書く本

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《女性の書く本(じょせいのかくほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,710 字 · 6 頁

青空文庫

て来たのだと思える。

豊田正子の「綴方教室」小川正子の「小島の春」などが、この波頭であった。これらの本は、文学では生産文学、素材主義の文学が現れて生活の実感のとぼしさで人々の心に飢渇を感じさせはじめた時、玄人のこしらえものよりも、素人の真実な生活からの記録がほしいという気持から、女子供の文章の真率の美がやや感傷的に評価されはじめたとき、あらわれて、出版部数の大さでも一つの記録をこしらえた本なのであった。

今日では、同じ下らない本なら著書が若い女の方がいい、と何処かで誰かが云ってでもいるように、女性の著作が次から次へと出版される。本を出したら、という考えが若い女性の心に閃くとき、そこには万ガ一当ればという経済事情も伴って浮ぶようになって来ている。

今日のこういう現象の複雑さでは、つまるところ儲けが眼目で本屋は当りそうな女の本をあさっているのだとばかり単純に云い切れないところがあるだろうと思う。

この頃になって何故そんなに女性の書いた本に注意がひかれているのだろうか。女の書いた本というのは、どちらかというとまだめずらしい。それも理由の一つだろう。それとともに何となし社会の息づかいが乾いていて、何か素朴な、原形のままの人間感情のやさしさや、しなやかさや弾力を感じとりたくて、案外のような人も本を買っている。