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おんなきしゃのやくわり
女記者の役割
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《女記者の役割(おんなきしゃのやくわり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,039 字 · 32 頁
「千種君、現場をお目にかけよう、此方へ来たまえ」
花房一郎は潮時を見て、会長室の一方の闥を開けました。
「さあ、どうぞ」
園田氏の声を背後に聞いて、二人はそのまま問題の会議室に入って行きます。
其処はかなりの広間で、マホガニーの大卓子を、凹字形に配置した上には、素晴らしい飾電灯を三つまで下げ、クリーム色の壁に、胡桃色の鏡板の腰張りを廻して、安い壁紙などを一枚も使わないところに、場所柄らしい威厳を示して居ります。黒大理石で張った大きい煖炉には、夕刻まで続いた会議の名残と見えて、焼余の石炭が、少しばかりの焔を吐いて居るのも物々しい情景です。
「此金庫に入れてあったのだ、合鍵を使って苦もなく開けて居る」
「――――」
会長席の横手、壁の中へはめ込んだ大金庫は、厳重な扉を明るい灯に照らしては居りますが、実は泥棒が開けたまま、まだ鍵が掛って居ないのです。
「此室の入口は二つ、一つは今僕等が入って来たので会長室に通じ、一つは反対側から廊下を隔てて、食堂の戸口と向き合って居るのだ。窓は厳重に閉されて居て、何んの異状も無い。犯人は裏の塀を乗り越えて、食堂の入口のガラスを一枚叩き割り、差し込んだままになって居た鍵を捻って、楽々と入ったのだ。