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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
線上閱讀高見 順《如何なる星の下に(いかなるほしのもとに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 頁
私の家のそばに鉄道線路があり、朝夕その線路脇の道を通っていたせいもあるだろうが、私は、真暗な陰鬱な線路脇で、非力の私の到底抵抗しがたい筋肉逞しい男、――それもこっちは一人なのに、向うはそういうのが数人というのに取りかこまれていた。夢なのであるから、せめて、――現実では不可能にきまっているが、いや、それゆえかえって、その男どもをステンステンと小気味よく投げ飛ばすというような「夢」を夢見たら、よさそうなものに、――なんという腑甲斐ない私だろう。私はいやもう、踏んだり蹴ったりのさんざんの目に会わされているのだった。だが、そんな情けない夢は、鮎子に逃げられた私の無念の歯軋りを現わしているのであった。鮎子が私から去って行ったのは、鮎子としては、もっともな理由があっただろうが、私としては、どうしても納得のいかないことであった。無法な理不尽な仕打ちとしか考えられなかった。あたしは、もうあんたに対する愛情を失った、だから別れましょう。こう鮎子に言われて、私は、では俺もと言って、鮎子への愛情を古くなったシャッポでも捨てるみたいに簡単に捨てることはできなかった。と言って、それは困る、俺はまだお前を愛している、お前を失いたくないと言っても、――いや、それこそ泣いて頼んでも、それで鮎子の去って行くのを、とめることはできなかった