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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

線上閱讀高見 順《如何なる星の下に(いかなるほしのもとに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 頁

青空文庫

すると、そこへ、

「――お、寒い」

美佐子が乱暴に玄関をあけた。「あら、倉橋さん」

「やあ、今晩は」

美佐子は立ったまま靴をぬいで、なかに入り、

「――あら」

鉄板の字から私に眼を移して、

「それ、――倉橋さんが書いたの?」

「うん」

「雅子、知ってんの」

「――僕の恋人」

「恋人?」異様な声を挙げるのに、

「いや、冗談ですがね。僕のとッても好きな子なんだ」

「……!」ずっと立ったままの美佐子が、私を険しく見据えた。私は眼を逸らせ、「子」の字をパクリと口の中へ入れた。

「あッちち……熱い」

美佐子が私の前にべたりと坐った。私は口をアグアグいわせながら、

「君は、小柳さん知ってんの。――いや同じ浅草にいりゃ知ってるわけだね」

私はドギマギして、ひとりでしゃべった。

「それより君、この間ドサ貫ク――ああ言いにくい、ド、サ、貫、クンに会って、大変な話を聞いた。驚いたね。――君はなぜ、僕に話の半分しかしないで、みんな言わなかったのかね」

そこへ「惚太郎」の主人の惚太郎が、外から帰ってきて、話はそのまま中断されてしまった。

「滅法冷えやがる――いらっしゃいませ。外は冷えますな。――坊やは、と、(三畳間をのぞいて)寝ているな。