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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

線上閱讀高見 順《如何なる星の下に(いかなるほしのもとに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 頁

青空文庫

食いものやの道具だったら、なんだって売ってないものはない。割箸専門の店、各種薬味容器専門の店、それから……ああ、もうやめよう。

――小説が書けなくなったら、ここで安道具を集めて、屋台でもやるかな。そんなあんまり楽しくない空想をしながら、あるとき私はそこを歩いていた。歩いていたら、そんな空想を誘われたのだが、浮かぬ顔の眼だけをおもしろそうに輝かせて、店をのぞきのぞき、合羽橋の停留場のさきまで行ったとき、

「よオ、これは」

と声をかけられた。見ると、大森の、私のもとよく行った喫茶店のバーテンダーで、

「お珍しいところで――」

驚いている顔に、

「あんたもまた、大森からこんなところへ何しに……」

「あたしは、クリスマスの飾り付けを買いに……」小脇にそれらしいものを抱えていた。

ああなるほどと私は思った。そういうものばかりをまた専門に売っている店が、そこにあるのだ。

私はやや億劫な気持だったが、相手のいつまでも消さない不思議そうな表情がうるさいので、私がそんなところを散歩しているわけを手短に語った。そしてバーテン君が六区の方へ回って帰るところだと言うので、一緒に芝崎町の方へ曲ったのだが、そこは浅草公園の方から言うと、国際劇場の裏に当るところで、ここがまた不思議な一画なのである。