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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

線上閱讀高見 順《如何なる星の下に(いかなるほしのもとに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 頁

青空文庫

自信のないことを誇りにしているような、それほど、ほかに誇りのない私たちは、すっかり気圧されて、車道の方に、はみ出たのであったが、おしゃべりの朝野としては、ここでまた一言なかるべからざるところで、彼は、――いや、物語のテンポを早くしようと言った口の、まだ乾かぬうちに、この始末では困る。先を急ごう。

私たちはK劇場の楽屋口に行った。

朝野はまるでそこの幕内の人間のような顔で、さっさと、なかへ入って行った。その背は、前夜、彼が「浅草のことなら、万事僕に……」と言って胸を叩いた時と同じような昂然たる一種の光彩を放っているごとくである。入るとき、朝野は「――さあ」と私に言ったが、「一緒に」という意味にしては、ちょっと曖昧な感じだったので、それに私はすっかり気おくれしていたので、ひとり外に残った。

その路地の、楽屋口の前にも、自転車の預り所があった。その隣が、国際通りに面した漫才小屋のT館の裏に当っていて、幕合いのおはやしが聞えてくる。それに合わせて、私の心臓はドキドキと鳴っていた。

「どうしたですな」朝野が扉から顔を出して言った。

私は唾をのんだ。

――ダンシング・チームの楽屋は暗い舞台裏の三階にあった。