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ようじゅつ

妖術

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《妖術(ようじゅつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,293 字 · 21 頁

青空文庫

「馬鹿な、それっきりか。いや、そうだろう。」

と打棄り放す。

大提灯にはたはたと翼の音して、雲は暗いが、紫の棟の蔭、天女も籠る廂から、鳩が二三羽、衝と出て飜々と、早や晴れかかる銀杏の梢を矢大臣門の屋根へ飛んだ。

胸を反らして空模様を仰ぐ、豆売りのお婆の前を、内端な足取り、裳を細く、蛇目傘をやや前下りに、すらすらと撫肩の細いは……確に。

スーと傘をすぼめて、手洗鉢へ寄った時は、衣服の色が、美しく湛えた水に映るか、とこの欄干から遥かな心に見て取られた。……折からその道筋には、件の女ただ一人で。

水色の手巾を、はらりと媚かしく口に啣えた時、肩越に、振仰いで、ちょいと廻廊の方を見上げた。

のめのめとそこに待っていたのが、了簡の余り透く気がして、見られた拍子に、ふらりと動いて、背後向きに横へ廻る。

パッパッと田舎の親仁が、掌へ吸殻を転がして、煙管にズーズーと脂の音。くく、とどこかで鳩の声。茜の姉も三四人、鬱金の婆様に、菜畠の阿媽も交って、どれも口を開けていた。

が、あ、と押魂消て、ばらりと退くと、そこの横手の開戸口から、艶麗なのが、すうと出た。

本堂へ詣ったのが、一廻りして、一帆の前に顕われたのである。