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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
線上閱讀福田 英子《妾の半生涯(わらわのはんせいがい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 頁
されどなお近来未曾有の大獄にて、一度に総数を入るる法廷なければ、仮に六十三名を九組に分ちて各組に三名ずつの弁護士を附し、さていよいよ廷は開かれぬ。先ず公訴状朗読の事ありしに、「これより先、磯山清兵衛は(中略)重井、葉石らの冷淡なる、共に事をなすに足る者に非ず」云々の所に至るや第三列に控えたる被告人氏家直国氏は、憤然として怒気満面に潮し、肩を聳やかして、挙動穏やかならずと見えしが、果して十五ページ上段七行目の「右議決の旨を長崎滞在の先発者田代季吉云々」の処に至り、突然第一列にある、磯山清兵衛氏に飛びかかり、一喝して首筋を掴みたる様子にて、場の内外一方ならず騒擾し、表門警護の看守巡査は、いずれも抜剣にて非常を戒めしほどなりき。とかくする内看守、押丁ら打ち寄りて、漸く氏家を磯山より引き離したり。この時氏家は何か申し立てんとせしも、裁判長は看守押丁らに命じて、氏家を退廷せしめ、裁判長もまたこの事柄につき、相談すべき事ありとて一先ず廷を閉じ、午後に至りて更に開廷せり。爾来公判は引き続きて開かれしかど、最初の日の如く六十三名打ち揃いたる事はなく、大抵一組とこれに添いたる看守とのみ出廷したり。