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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《婦人と文学(ふじんとぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 頁
「くれない」の作者が、この「思いあがった」自分と表現した一句は、いろいろな方面に誤って解釈された。
この十分に内容をあらわしきっていない「思いあがり」という表現を、作品の全体から判断すれば、現実に社会が今日立っている歴史の限界やその矛盾、そして個性というものもそれからまだ自由になっていない限度や矛盾などが、互にからみあい複雑をきわめる現実の揉み合いに対して、人間、女としての自分の善意に我からたのみすぎた思い上り、対手の広介が、女として自分たちのもっている成長への善意と意欲を常にまともにだけ理解する能力をもっていて、真に新しく美しいものを二人の仲にこそ創りあげようと、いかなる場合いかなる瞬間にも揺がない心情を堅持していると思いこんで、馬鹿正直に生きて来た、その思いあがりを、云っているにほかならないと思われる。しっかりものの女が、いい気になったという世俗の意味での思いあがりの意味ではないことは、明らかに理解される。我々の生きている現代というものの裡に、思いもよらない形に変化しながら、しかも実に重く、長く尾をひいてのしかかって来ている過去の因習の力に対して一人の女が真に人間らしく女らしく生きようとして来た半生の善意が、このような破綻を経験しなければならないとは思い初めなかった、その歎きが、思いあがりとして歎かれる