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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
線上閱讀坂口 安吾《安吾の新日本地理(あんごのしんにほんちり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,574 字 · 49 頁
面白かったな、この黒ちゃんは。徳田君は十九ぐらいでしょうと云うが、マサカね。二十一、二にはなってるだろう。顔が真ッ黒けだね。大雪のあとだからスキーに行って焼けてきたのである。その黒さが並大ていの黒さじゃないね。ここまで思いきって黒くなれるもんじゃない。しかし村田※(「王+旬」、第3水準1-87-93)子さんは一年の大半かくの如くに真ッ黒だそうだね。夏は海で、冬は雪山で。白くなるヒマが少いそうだね。しかし彼女は美人なのである。至って無口であるが、いつもニコニコしている。言葉の通じない南洋美人と一しょに居るようなものだ。これも亦、平々凡々、総理大臣賞でもないし、デザイナーですらもない。花柳有洸さんも、対坐していればタダの娘である。専門家という特別なものを、平常は全く身につけていないところが、フシギな思いがするほどだ。見るからに平々凡々たる娘さんであり、平々凡々とどこへでも滑りこんでいるような感じは、この人たちの場合でも同様であった。
一番よい意味の家庭人という感じである。家庭人でありながら、そのままどこへでも気楽に滑りこめるし、どんなに専門的な仕事に従事していてもいつも立派にそして平凡に家庭人だというような、理窟ぬきでそうなっている自然さがあった。