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あんごこうだん

安吾巷談

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《安吾巷談(あんごこうだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,128 字 · 23 頁

青空文庫

旅客のフリをして廊下かなんか歩いていて、浴客の留守の部屋へあがりこんで、金品を盗みとって、素知らぬフリをして戻ってくるのである。

自分の部屋には芸者が待たしてあるから、いわばアリバイがあるようなもので、さすがの探偵たちも、この男が犯人だということは、他のキッカケがなければ、なお相当期間発見されなかったろう。

伊東の暖香園へ泊った浜本浩氏もカバンをやられた。その同じとき、伊東在住の文士のところへ税額を報らせに来た文芸家協会の計理士某氏が伊東市中を自動車でグルグル乗りまわしていて、第一級の容疑者として睨まれたそうだ。してみると、私も陰ながらツナガリがあったのである。私はそのとき、前回の巷談のために、小田原競輪へ泊りがけで調査にでむいていて、留守であった。

この男がつかまったのは、いつもの奥の手をちょッと出し惜んだせいだったそうだ。ドテラの温泉客のフリを忘れて、洋服のまま、伊東温泉の地下鉄寮というところへ忍びこんだ。見破られて逃走したが、襟クビをつかまれ、上衣を脱ぎすててのがれたが、洋服のポケットに自分の写真を入れていたのが運の尽き、指名手配となったのである。