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あんごこうだん

安吾巷談

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《安吾巷談(あんごこうだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,016 字 · 48 頁

青空文庫

そのフロシキ包みは、ちょうどカバンぐらいの大きさだ。むろんカバンのはずはないが、いかにも疑ってくれという様子で、あまりにシツコく、また、憎々しいやり方である。

巡査もいまいましがって、女を交番の奥へつれこみ、フロシキの中をしらべると、案にたがわずカバンではない。しかし一計を案出して、

「あのお客がだね。カバンを君の店で矢くした、君の店まではたしかにカバンを持って行ったと言ってる。君を疑るわけではないが、相手が酔っ払いでも、君の店で失くしたらしいと云う以上、一応君の店を調べなければならないから、案内してくれたまえ。君を疑ってるわけじゃないから、悪く思うなよ」

と、このお巡りさん、年は若いが、なかなか言い方が巧妙である。

「ええ、ええ。そうでしょうとも。あの人がそう云う以上は、調べをうけるのが当然ですよ」

と、女はまるでそれを待っていたようである。

きいてる私は、なんとも不快だ。この女は全部筋書を立ててやってるのである。巡査は女に案内させて調べに行ったが、もとよりカバンのあるはずはなかった。

巡査は男が女の店へカバンを忘れたと云ってると云ったが、これは巡査のとッさの方便で、男はすべてを記憶していないのだ。