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あんごこうだん

安吾巷談

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《安吾巷談(あんごこうだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 13,419 字 · 27 頁

青空文庫

現に近年はロールオーバーという跳び方がアメリカで発明された。この跳び方はバーと平行に身体をねせて空中に一回転するもので、頭が先にかかっているか、足が先にかかっているか、まったく見当がつかない。規則スレスレのところで曲芸をやっている。

ロールオーバーにしても、クロール、バタフライにしても、スポーツの技術面に独創的な新風をおこしたということは、日本には一度も例がないようだ。

私が中学の一年か二年のとき、アントワープのオリムピックに日本から水泳が初参加した。内田正練、斎藤兼吉という二人の選手である。

斎藤兼吉という人は佐渡出身の高師の学生で、私のいた新潟中学へ毎年コーチにきてくれた人である。彼は陸上競技も当時日本の第一人者で、オリムピックでは十種競技にでたように記憶する。水陸を兼ねてスポーツの名手であるから、世人がアダ名して斎藤兼吉とよび、アダ名の兼吉で通用していたが、万能選手だが、六尺豊か、骨格鬼の如く、しかし甚だ心やさしく、女性的な人であった。

このとき、オリムピックの一次予選で、兼吉選手が十種競技の走幅跳に二十尺五寸で、日本新記録であったが、六米ちょッとで今の日本の女子記録と同じぐらいである。