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いえ

家

島崎 藤村

線上閱讀島崎 藤村《家(いえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,411 字 · 285 頁

青空文庫

と森彦はお倉の方を見て言った。

「宗さんの旧い歌仲間で、神主をしてる人があります」とお倉が答えた。「母親さんの生きてる時分には、よくその人を頼んで来て貰いました」

「よし。では、正太は気の毒だが、その禰宜様のところへ行って来てくれや」

「正太さん、僕も一緒に行きましょう」

と三吉は甥の側へ寄った。

遠い神主の寓居の方から、三吉、正太の二人が帰って来た頃は、近い親戚のものだけ残った。お倉は取るものも手に着かないという風で、唯もう狼狽していた。お俊は一人で気を揉んだ。会計も娘が預った。

「お雪」と三吉が声を掛けた。「お前は今日は御免蒙ったら可かろう」

「叔母さん、何卒御帰りなすって下さい」とお俊が言った。

奥に机を控えていた森彦は振向いた。「そうだ。子持は帰るが可い。俺もこの葉書を書いたら、今日は帰る……通知はなるべく多く出した方が可いぞ……俊、もっと葉書を出すところはないか。郷里の方からもウント香典を寄して貰わんけりゃ成らん」

死んだ娘の棺を側に置いて、皆な笑った。

暮れてから、通夜をする為に残った人達が一つところへ集った。豊世は正太の傍へ行って、並んで睦まじそうに坐った。