輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

いえ

家

島崎 藤村

線上閱讀島崎 藤村《家(いえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,411 字 · 285 頁

青空文庫

倦まず立働く人で、お雪の傍に居ても直に眼鏡を掛けて、孫の為に継物したり、娘の仕事を手伝ったりした。

丁度、勉も商用で上京していた。勉の旅舎はさ程離れてもいなかったし、それに名倉の母が逗留中なので、用達の序に来ては三吉の家へ寄った。お雪が母親の周囲には賑かな話声が絶えなかった。

こういう中で、とかく三吉は沈み勝ちであった。賢い名倉の母に隠れるようにして、日の暮れる頃には町の方へ歩きに出た。何処へ行こう。何を見よう。別に彼はそんな目的があるでもなかった。唯、家から飛出して行って、路を通る往来の人の中に交った。彼の足は電車の通う橋の方へ向き易かった。そこから、黄昏時の空気、チラチラ点く燈火、並木道、ゴチャゴチャした町の建物なぞを眺めては帰って来た。家の近くには、人の集る寄席がある。そこへも彼はよく独りで出掛けて行った。芸人が高座でする毎時きまりきった色話だとか、仮白だとかが、それほど彼の耳を慰めるでも無かった。彼は好きな巻煙草を燻しながら、後の方の隠れた場所に座蒲団を敷いて、独りで黙って坐った。そして、知らない人の中に居て、言い難き悲哀を忘れようとした。