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いえ

家

島崎 藤村

線上閱讀島崎 藤村《家(いえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,748 字 · 254 頁

青空文庫

こう下婢が何の気なしに言った。三吉夫婦は思わず顔を見合せた。

夫婦は眠い盛りであった。殊に三吉が旅から帰って来てからは、下婢まで遅く起きるように成った。どうかすると三吉の学校へ出掛けるまでに、朝飯の仕度の間に合わないことも有った。

朝の光が薄白く射して来た。戸の透間も明るく成った。一番早く眼を覚すものは子供で、まだ母親が知らずに眠っている間に、最早床の中から這出した。

子供は寝衣のままで母の枕頭に遊んでいた。お雪は半分眠りながら、

「ちょッ。風邪を引くじゃないか」

と叱るように言って、無理に子供を床の中へ引入れた。お房は起きたがって母に抱かれながら悶き暴れた。

水車小屋の方では鶏が鳴いた。洋燈は細目に暗く赤く点っていた。お雪は頭を持上げて、炉辺に寝ている下婢を呼起そうとした。幾度も続けざまに呼んだが、返事が無い。

「ああああ、驚いちまった」

お雪は嘆息した。この呼声に、下婢が眼を覚まさないで、子供が泣出した。

「ハイ」

と下婢は呼ばれもしない頃に返事をして、起きて寝道具を畳んだ。下婢が台所の戸を開ける頃は、早起の隣家の叔母さんは裏庭を奇麗に掃いて、黄色い落葉の交った芥を竹藪の方へ捨てに行くところであった。