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さむさ

寒さ

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《寒さ(さむさ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,972 字 · 8 頁

青空文庫

「デンネツ? 電気の熱か何かかい?」

「困るなあ、文学者は。」

宮本はそう云う間にも、火の気の映ったストオヴの口へ一杯の石炭を浚いこんだ。

「温度の異なる二つの物体を互に接触せしめるとだね、熱は高温度の物体から低温度の物体へ、両者の温度の等しくなるまで、ずっと移動をつづけるんだ。」

「当り前じゃないか、そんなことは?」

「それを伝熱作用の法則と云うんだよ。さて女を物体とするね。好いかい? もし女を物体とすれば、男も勿論物体だろう。すると恋愛は熱に当る訣だね。今この男女を接触せしめると、恋愛の伝わるのも伝熱のように、より逆上した男からより逆上していない女へ、両者の恋愛の等しくなるまで、ずっと移動をつづけるはずだろう。長谷川君の場合などは正にそうだね。……」

「そおら、はじまった。」

長谷川はむしろ嬉しそうに、擽られる時に似た笑い声を出した。

「今Sなる面積を通し、T時間内に移る熱量をEとするね。すると――好いかい? Hは温度、Xは熱伝導の方面に計った距離、Kは物質により一定されたる熱伝導率だよ。すると長谷川君の場合はだね。……」

宮本は小さい黒板へ公式らしいものを書きはじめた。