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かんえいぶどうかがみ

寛永武道鑑

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《寛永武道鑑(かんえいぶどうかがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,633 字 · 26 頁

青空文庫

いろいろの事を想出しても、女姉妹同士には、いくらかの親しみを感じたが、兄の又五郎には、何も感じなかった――というよりも、源太夫を殺して逃げた、刀の鞘を置忘れて逃げたという話を聞いた時には、夫の前で、口も利けなかった。世間の夫なら

「やくざの兄だの」

と、不機嫌な顔の一つでもする所を、半兵衛は

「舟遊びに参ろうか」

と、里恵の心を察して、気晴しに連れて行って、何一つ、又五郎の事は口にしなかった夫。

その夫が兄の為に、助太刀をしなくてはならぬ――と、家中の人々の噂は、里恵に、二重の苦しみを与えた。夫と別れる悲しさ、そうして、そんな兄の為に、そんな事をしなくてはならぬ侍の義理と、又五郎の妹という苦しさ。

(きっと、夫は、助太刀に行くであろう)

里恵は

(自分にからまる義理?――それは、何んな事? 自分は兄を兄とも思っていないし、助太刀所か、兄の首を討って、夫の手柄になるなら、兄を討ってもいい、とさえ考えているのに、その妹に、義理が、からまるとは? 妾は、そんな義理など、少しも考えていないのに――そんなことの為に、夫が妾へ、義理を立てる? それは、世間体もあろうが――世間体、武士の義理。