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てらだせんせいのついおく
寺田先生の追憶
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《寺田先生の追憶(てらだせんせいのついおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,152 字 · 26 頁
ところでY君と私との水素の爆発に関する研究であるが、この方は、実はY君がもう一年前から始めていたので、装置は大体出来ていた。それで私たちの方は直ぐ測定にとりかかれた。
この研究は飛行船の爆発防止の問題に関聯して始められたものであった。あの頃は日本ばかりでなく、外国でも飛行機が今日のように発達していなくて、飛行船がまだかなり有望視されていた。それで私たちも時々軟式の飛行船が、少々怪しげな恰好で東京の空をとぶ姿を仰いだものであった。
飛行船の事故は時々あった。そのうちでも当時から二年位前に一台の飛行船が原因不明で爆発してしまったことがあった。それで先生が或る方面から頼まれて、爆発防止の研究をされることになり、この水素の爆発に関する実験というのが、その基礎的研究として採り上げられていたのである。前の題目にしても、この水素の話にしても、学生の卒業実験としてはかなり大きい問題を課せられたものであった。しかしどんな難問題でも先生の手にかかると、妙に易しい話になってしまうので、気軽にどんどん実験を進めて行けるのが不思議であった。
水素の爆発の研究は、勿論世界各国で、ずっと前からも沢山なされていた。