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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁

青空文庫

が現われるのと、凡兆の「秋」のあとに去来の「雑」が来るのとではやはりかなりちがった効果的特徴を示すであろう。これはおそらくたとえばスコアーの上段をフリュート下段をヴァイオリンで行くのと、それが反対になるのとでまるでちがった音楽になりうるのと似たことになるであろう。おそらく芭蕉は少なくも無意識にはこれらの事理に通暁していたではないかと想像される。そうして場合に応じて適当なる楽器編成を行なったのではないかと想像されるのである。

これは単に音楽と連句との仮想的対照によって私の得た一つの暗示に過ぎない。前にも断わっておいたとおりこのような比較対照は厳密な意味では本来無理であるのに、それにもかかわらずそれをあえてしたのは、これによって連句というものをなんらか新しい光のもとに見直し、それによって未来の連句への予想と暗示とを求めるための手段としてであった。その目的は以上の所説でいくらかは達せられたように思われるのである。たとえば、少なくも連句の共同作家の相異なるあまたの個性の融合統一ということが連句芸術の最重要な要素であるということがいくらか明瞭にされたであろうと思う。