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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
それから四十年後の近ごろになって新聞で潜航艇ノーチラスの北極探検に関する記事を読み、パラマウント発声映画ニュースでその出発の光景を見ることになったわけである。この「海底旅行」や「空中旅行」「金星旅行」のようなものが自分の少年時代における科学への興味を刺激するに若干の効果があったかもしれない。
洪水のように押し込んで来る西洋文学の波頭はまずいろいろなおとぎ話の翻訳として少年の世界に現われた。おとなの読み物では民友社のたしか「国民小説」と名づけるシリースにいろいろの翻訳物が交じっていた。矢野竜渓の「経国美談」を読まない中学生は幅がきかなかった。「佳人の奇遇」の第一ページを暗唱しているものの中に自分もいたわけである。
宮崎湖処子の「帰省」が現われたとき当時の中学生は驚いた。尋常一様な現実の生活の描写が立派な文学でありうるのみか、あらゆる在来の文学中に求め得られない新鮮な美しさを包蔵しうるという事実を発見して驚いたのであった。アーヴィングの「スケッチブック」が英学生の間に流行していたのもそのころであったと思う。
松村介石の「リンカーン伝」は深い印銘を受けたものの一つである。