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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
次の幕は「葛の葉の子別れ」であった。畜生の人間的恩愛を描いたこの悲劇の不思議な世界の不思議な雰囲気も、やはり役者が人形であるがためにかえっていっそう濃厚になり現実的になるからおもしろいのである。
最後に「爆弾三勇士」があったが、これも前に一見した新派俳優のよりもはるかにおもしろく見られた。人間がやっていると思うと、どうしても感じる矛盾や不自然さが、人形だと、そう感じられない。あれで、もし背景などをもう少しくふうしてあれほど写実的にしなかったら、いっそう良い効果を得られはしなかったかと思われたのであった。
こういう新しいものを人形芝居に取り入れることについては異存のある人が多いようであるが自分はそうは思わない。もっと遠慮なく取りいれてみてもいいだろうと思う。見なれないうちは少しおかしくても、それはかまわない。百年の後には「金色夜叉」でも「不如帰」でもやはり古典になってしまうであろう、義太夫音楽でも時とともに少しずつその形式を進化させて行けば「モロッコ」や「街の灯」の浄瑠璃化も必ずしも不可能ではないであろう。こんな空想を帰路の電車の中で描いてみたのであった。