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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
における工場の鎚の音、「人生案内」の線路工事の鉄挺の音の使用などのようなのがそれである。これらの雑音だけで、音楽を抜きにしてもおそらくある程度までは同様な律動感を呼び起こされるであろうと想像される。
画面と音響との対位法的な律動的構成の試みが「世界のメロディー」の中に用いられていた。ピアノの鍵盤とピアノの音とが、銅鑼のクローズアップとその音とに交互にカットバックされるところなどあったように記憶する。この映画は全体としてはむしろ失敗であったと思われるが、しかしこういうような手法の試みとしての価値は認めてやらなければならないであろう。
視覚と聴覚とのもう一つの著しい差違の点がある。それはこの二つの感覚の単義性における相違である。視像の場合でももちろん錯覚によって甲のものを乙と誤認することは可能である。実際この錯覚を利用して、オーバーラップによる接枝法モンタージュで、ハンケチから白ばらを化成する。しかし音の場合はやや趣が違う。少なくもわれわれ目明きの世界においては、一つの雑音あるいは騒音の聴覚によって喚起される心像は非常に多義的なものである。たとえば風の音は衣ずれの音に似通い、ため息の声にも通じる。