輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ろうじゅうのめがね

小笠原壱岐守

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《小笠原壱岐守(ろうじゅうのめがね)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 57,249 字 · 115 頁

青空文庫

丹羽長国の肝を冷やさせおったわ。わっはは。井戸の中からでも迷うて出おったかと思ったぞ。来い。来い。待っておった。早うここへ来い」

「はっ……。参りまする……。只今それへ参りまするで厶ります……」

どうしたことか、這入って来た時の影のように力なく打ち沈んだ声で答え乍ら、おどおどとして主侯の近くへ進んでいったのは、同じお気に入りの近侍波野千之介である。しかし座を占めると同時だった。不思議なことにその千之介が君前の憚りもなく、突然、声をこらえ乍ら幽かに忍び泣いた。

「なに! 泣いているな! どうしたぞ。解せぬ奴じゃ。何が悲しいぞ!」

「…………」

「のう! 言うてみい! 何を泣いておるのじゃ!」

「いえあの、な、泣いたのでは厶りませぬ。不調法御免下さりませ。風気の気味が厶りますので、つい鼻が、鼻がつまったので厶ります……」

「嘘をつけい!」

見えすいたそんな言いわけを信ずる長国ではないのである。――ぐいと脇息の前に乗り出して来た顔から、追及の声がうなだれている千之介のところへ迫っていった。

「言うてみい! 言うてみい! のう! 遠慮は要らぬぞ。悲しいことがあらば残らずに言うてみい!」