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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《小笠原壱岐守(ろうじゅうのめがね)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 57,249 字 · 115 頁
二
「どこへ参ります! お待ちなさりませ!」
「…………」
「どなたにご用でござります!」
異様な覆面姿の五人を見眺めて、宿の婢たちがさえぎろうとしたのを、刺客たちは、物をも言わずに、どやどやと土足のまま駈けあがった。
あとから、カラリコロリと下駄を引いて、直人も、のそのそと二階へあがった。
敷地の選定もきまり、兵器廠と一緒に兵学寮創設の案を立てて、その設計図の調製を終った大村はほっとした気持でくつろぎ乍ら、鴨川にのぞんだ裏の座敷へ席をうつして、これから一杯と、最初のその盃を丁度口へ運びかけていたところだった。
猪のように鼻をふくらまして、小次郎がおどりこむと、先ず大喝をあびせた。
「藪医者! 直れっ」
しかし、藪医者は藪医者でも、この医者は只の医者ではなかった。彰義隊討伐、会津討伐と、息もつかずに戦火の間を駈けめぐったおそろしく胆の太い藪医者だった。
「来たのう、なん人じゃ……」
ちらりとふりかえって、呑みかけていた盃を、うまそうにぐびぐびと呑み干すと、しずかに益次郎は、かたわらの刀を引きよせた。
人物の器の桁が違うのである。――気押されて、小次郎がたじろいだのを、