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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《小笠原壱岐守(ろうじゅうのめがね)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 57,249 字 · 115 頁
まだ十七八らしく、すべすべした肌のいろが、川魚のような光沢を放って、胸から腰のあたりのふくらみも、髪の花簪のように初々しい小娘だった。
「いかんぞ。そんなところで浮気をしておっては。――まあここへ坐れ」
たびたびどころか、毎日来ているとみえて、新兵衛は、無遠慮に女の手をとり乍ら、そばへ引よせた。
「きんのう来たとき、襟足を剃れと言うたのに、まだ剃らんの」
「でも、忙しいんですもの……」
「忙しい忙しいと言うたところで、こんな家へ八字髭の旦那方は来まいがな。みんなおれたちみたいな風来坊ばかりじゃろうがな」
「ええ、それはそうですけれど……」
「毎日文を書いたり、たまにはいろ男にも会うたりせねばならんゆえ、それが忙しいか」
「まあ、憎らしい……」
紅をうめたような笑くぼをつくって、甘えるように笑うと、女は、そっと目で言った。
「このおつれさん? ……」
「うん、酒じゃ」
「あなたさまも?」
「呑もうぜ。料理もいつものようにな。きのうのようにまた烏賊のさしみなんぞを持って来たら、きょうは癇癪を起すぞ、あまくて、べたべたと歯について、あんなもの、長州人の喰うもんじゃ。おやじによく言ってやれ」