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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
線上閱讀正岡 容《小説 圓朝(しょうせつ えんちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 163,270 字 · 325 頁
飲み残しのおしきせでもまた傾けるのだろう、そのままスタスタ踵を返して母屋のほうへ取って返していってしまった。
中一日おいて呼び付けられたときには、縁側へ坐って師匠は集まってくる雀にしきりに米粒をばら撒いてやっていた。
一羽の雀が食べ飽きて近くの木の枝へ、また別の一羽がまた食べ飽きてさらに一段と高い木の枝へ、もうひとつまた別の一羽はさらにさらに高い梢へ飛んで行くと、そのたんび師匠は、
「ホレ……ホレ……ホーレ」
とそのたんびその雀の行くほうへ行くほうへとことさらに目で追って見せた。そうして、
「もうこれできょうのお稽古はすんだよ」
とまたニヤリ笑った。
地面からやや高いところへ、やや高いところからさらに高いところへ、さらに高いところから一番高いところまで、三段に雀の行方を追う圓生の目のつかい方は、それぞれそのたんびに位置や高低がちがっていた。話中幾人かの人物の位置の移動を、眼の配りたったひとつで如実に表さなければならない「噺」の世界では、かかって「芸」の活殺如何はこうした目の動かし方ひとつにあり。すなわちいまその奥秘の種明かしをば、親しく師匠はして見せてくれたのだった。