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しょうねんたんていちょう

少年探偵長

海野 十三

線上閱讀海野 十三《少年探偵長(しょうねんたんていちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 110,286 字 · 221 頁

青空文庫

ただ、明日になって、伯母たちに叱られるであろうが、それもしかたなしだ。

春木は、急に腹が空いているのに気がついた。ポケットをさぐったが、例のへんな球の外になんにもない。みんなたべてしまったのだ。

そのうちに寒くなって来た。秋も十一月の山の中は、更けると共に気温がぐんぐん下っていくのであった。

「ああ、寒い。これはやり切れない」空腹はがまんできるが寒いのはやり切れない。どうかならないものか。

「あッ、そうだ。ライターを持っていた」

こういうときの用心に、彼はズボンのポケットに火縄式のライターを持っていることを思いだした。そうだ。ライターで火をつけ、枯れ枝をあつめて、どんどんたき火をすればいいのである。少年は元気づいた。

火縄式のライターは、炭火のように火がつくだけで、ろうそくのように焔が出ない。それはよく分っていたが、彼はこの前、火縄の火に、燃えあがりやすい糸くずを近づけて、ふうふう息をふきかけることにより、糸くずをめらめらと燃えあがらせて、焔をつくった経験があった。その経験を今夜いかして使うのだ。

彼は、服の裏をすこしさいて、糸くずと同様のものをこしらえ、それにライターの火縄の火を燃えあがらせることに成功した。