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こさかいふぼくしゅうはしがき

少年科学探偵

小酒井 不木

線上閱讀小酒井 不木《少年科学探偵(こさかいふぼくしゅうはしがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,885 字 · 308 頁

青空文庫

最初、変事を発見したのは、市さんという村の遊び人でした。市さんは長らく東京にいましたが、最近郷里に帰ってぶらぶら遊んでいるのでした。東京で何をしていたのか誰も知りませんが、自分ではある呉服屋の番頭をつとめていたところ、最近少し呼吸器を害したから、静養かたがた帰っているのだと申しているそうです。しかし、一見したところでは呼吸器の悪そうな顔もしていないそうで、天気さえよければ、朝早くから魚釣りに出かけることにしていたのです。

その朝、例のごとく市さんが、釣り竿をかついで、留吉の家のそばを通りますと、いつもその時間には開いているはずの雨戸が、その日に限ってしまっておりましたので、不審に思って、裏の方へまわって見ますと、裏口の戸があいていたので、暗い中をのぞきこむように頭を差し入れますと、魚籠のにおいを嗅ぎつけたと見えて、留吉が中から走りだしてきました。

留吉は妙な唸り声を出して魚籠の蓋をあけましたが、空であったから、がっかりした様子でした。しかし市さんは、留吉の様子がなんとなく変に思われたので、奥の間へ入ってゆくと、表の雨戸の隙間からくる光線で、母親お豊が蒲団から身体を半分ほど乗りだし、首に手拭いを巻かれて横たわっているのが見えました。