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びょうぶはたたまれた

屏風はたたまれた

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《屏風はたたまれた(びょうぶはたたまれた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,953 字 · 24 頁

青空文庫

そうして灯をいれないまま、闇の中に寝ていると、やがて女が来て同じ夜具の中へはいり、夜の明けるまえに出ていってしまう。

――わたくしのするとおりになさいまし、ようございますね、さあ気をゆったりとなすって。

初めての夜、女はそう囁いた。弥十郎は十五歳になっていたから、男女のなかにそういう秘事のあることはおぼろげには知っていた。したがってそのことにおどろきはしなかったが、自分の意志を無視して行われたこと、女がなに者であるかも不明なことなどで、ひじょうな恥ずかしさと怒りを感じ、翌朝、父に向ってその不当なことを詰問した。

――そういう子供めいた考えかたを捨てるためにもこの「式」はあるのだ。

と父の伊与二郎は答えた。

――おまえたちの年頃から、もっとも勉強や修業の邪魔になるのは女だ、知らないために惹きつけられ、不必要にあがめたり、卑しめたり、またあこがれたりして心を悩ませる、女というものを知れば、そんな悩みもなくなるし、空想で時間を浪費することもない、そのうえ、おとなになったという自覚が得られるだろう、やがて自分でもわかる筈だ。

その「式」は七夜つづいた。

女は誰だかわからなかった。