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さんけいにいくるひとびと

山谿に生くる人々

葉山 嘉樹

線上閱讀葉山 嘉樹《山谿に生くる人々(さんけいにいくるひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,699 字 · 67 頁

青空文庫

遅生れの八つで、東京育ちの子供には、この登校は体力に応え過ぎた。したがって、一日行っては二日休む。といった日が続いた。

続いて出かけると思うと、途中から泣いて帰ったりした。

「武ちゃんが、足を出して転がしたあ」

「大きな子が、何もしないのに、殴ったあ」

「本が失くなッたあ」

「遅くなっちゃッたあ」

などと言って、急坂を泣き下って帰って来るのだった。

「本が失くなったって、どこで失くなったんだい」

「どこか、道の辺で失くしちゃった」

「どうして失くなったことが分った?」

「どうしても」

――ハハア、野郎、学校へ行くのが厭なもんだから、どっかで読本を捨てたか、草ん中へ隠したかしやがったな――

と、大山は考えた。

「『どうしても』って、おかしいなあ。家を出かける時には、チャンと入ってたんだし、馳けたって飛び出すようなはずはないし、ほら、こんなにきっちり入ってるだろう。引っ張り出すんだって、よっぽど、力を入れなけりゃ抜けやしないじゃないか。それが失くなったてなあ、おかしいじゃないか」

と言うと、タア坊は、飯場の入口に立ったまま首を傾けた。

――自分でも分らない――

という恰好なのだ。