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あらし

嵐

島崎 藤村

線上閱讀島崎 藤村《嵐(あらし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,007 字 · 108 頁

青空文庫

三郎の好みで、二枚の座ぶとんの更紗模様も明るい色のを造らせた。役に立つか立たないかしれないような古い椅子や古い時計の家にあったのも分けた。持たせてやるものも、ないよりはまだましだぐらいの道具ばかり、それでも集めて、荷物にして見れば、洗濯したふとんから何からでは、おりから白く町々を埋めた春先の雪の路を一台の自動車で運ぶほどであった。

その時になって見ると、三人の兄弟の子供は順に私から離れて行って、末子一人だけが私のそばに残った。三郎を送り出してからは、にわかに私たちの家もひっそりとして、食卓もさびしかった。私は娘と婆やを相手に日を暮らすようになったが、次第に私の生活は変わって行くように見えた。巣から分かれる蜂のように、いずれ末子も兄たちのあとを追って、私から離れて行く日が来る。これはもはや、時の問題であるように見えた。私は年老いて孤独な自分の姿を想像で胸に浮かべるようになった。

しかし、これはむしろ私の望むところであった。私か、私は三十年一日のような著作生活を送って来たものに過ぎない。世には七十いくつの晩年になって、まだ生活を単純にすることを考え、家からも妻子からもいっさいの財産からものがれ、全くの一人となろうとした人もあったと聞くが、早く妻を先立てた私はそれと反対に、自分は家にとどまりながら成長する子供