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あらし
嵐
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《嵐(あらし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,007 字 · 108 頁
も建て、静かに病後の身を養いたいと考えるような、そういう年ごろに達したのかもしれない。
今でこそあまり往来もしなくなって、年始状のやり取りぐらいな交際に過ぎないが、私の旧い知人の中に一人の美術家がある。私はその美術家の苦しい骨の折れた時代をよく知っているが、いつのまにか人もうらやむような大きな邸を構え住むようになった。昔を知る私にはそれが不思議なくらいに思えて、あのわびしさを友としていたような人はどこへ行ったろう、とそれを長い間の疑問として残していた。年をとってみて、私も他人の心を読むようになった。あれはただ裕福な人の邸ではなくて、若い時分に人一倍貧苦をなめ尽くした人の住む家だと気がついた。
次郎や、末子をそばに置いて、私は若いさかりの子供らが知らない貯蓄の誘惑に気を腐らした。あるところにはあり過ぎるような金から見たら、おそらく二万円ぐらいはなんでもないかもしれない。しかし、ないところにはなさ過ぎる金から見たら、それだけまとまった高でも大きい。でも、私は、土の中へでも埋めて置くように、死に金をしまって置く気はなかった。どうそれを使ったものかと思った。