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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
線上閱讀高村 光雲《幕末維新懐古談(ばくまついしんかいこだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,781 字 · 4 頁
町内に安床という床屋がありました。
それが私どもの行きつけの家であるから、私はお湯に這入って髪を結ってもらおうと、其所へ行った。
「おう、光坊か、お前、つい、この間頭を結ったんじゃないか。浅草の観音様へでも行くのか」
主人の安さんがいいますので、
「イエ、明日、私は奉公に行くんです」
と答えますと、
「そうかい。奉公に行くのかい。お前は幾齢になった」
などと話しかけられ、十二になったから、八丁堀の大工の家へ奉公に参る旨を話すと、安床は、大工は、職人の王なれば、大工になるは好かろうと大変賛成しておりましたが、ふと、何か思い出したことでもあるように、
「俺は、実は、人から頼まれていたことがあった。……もう、惜しいことをした」
と、残り惜しそうにいいますので、理由を聞くと、それは元、この町内にいた人だが、今は大層出世をして彫刻の名人になっている。何んでも日本一のほりもの師だということだ。その人は高村東雲という方だが、久方ぶりに此店へお出でなすって、安さん、誰か一人好い弟子を欲しいんだが、心当りはあるまいか、一つ世話をしてくれないかと頼んで行ったんだ。俺は、今、お前の話を聞いて、その事を思い出したんだが、実に惜しいことをした……しかし、光坊、お前は大工さんの所へ明日行くことに決まってるというが、それはどうにかならないかい。