輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

まぼろしのかなた

幻の彼方

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《幻の彼方(まぼろしのかなた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,763 字 · 84 頁

青空文庫

膝の上に抱きしめ、掌の中にまるめ込みたいような、小柄な淋しい可愛いい彼女だった。小さく清楚にちまぢまとまとまってる彼女だった。可愛さの余りに小憎らしくなって、こづき廻した事もあったが……。

遺骨は折を見て国許の墓地に埋めるまで、寺へ預けておくつもりだったが、四十九日が過ぎると、順造はそれを家に持って来て、押入の片隅を仏壇にしつらえ、其処へ丁寧に安置した。

「これが坊やのお母ちゃんだよ。」

順一を抱いて来て、その前を往き来した。心持ち右と左とびっこの眼で、何処からかじっと見られてる心地がした。

この児を見守ってるのだ!

然し、順一に母親の務めをしてるのは竜子だった。彼女は殆んど本能的な愛で順一を庇護してるかと思われた。一寸順一が泣声を立ててもすぐに飛んで来た。おおいい児ちゃん、と云って頬ずりをしていた。順一が風邪の気味だと、慌てて医者へ俥を走らせた。帰って来て、しどけない坐り方をしながら、順一を胸に抱きしめた。

「よかったわね、何でもなくて。」

大きく揚羽蝶を染め出した羽二重の帯に、派手な小紋金紗の羽織をつけていた。方々へ香奠返しをする折に、秋子の形見分けとして貰ったのを、袖丈を縫い直した衣類だった。