輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

げんかくき

幻覚記

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《幻覚記(げんかくき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,700 字 · 10 頁

青空文庫

一

筑後川右岸の、平坦な沃野である。消く水を湛えた川べりに、高い堤防があって、真直に続いている。堤防の両側には、葦や篠笹が茂っていて、堤防上の道路にまで蔽いかぶさり、昼間も薄暗く、夜は不気味である。

その堤防の上を、まだ夜明け前の頃、私は母と二人で歩いていた。私は七八歳だったが、別に恐さも不気味さも感ぜず、自分の村から半里余りも来たろうというのに、足も弱っていなかった。母と二人で、急いで歩いていった。

肺病でねている父のために、薬を買いに行くのである。四里ほどはなれた或る町に、肺病に特効の秘薬があって、その薬をのめば、体内の病毒悪血を忽ちに排出してしまうのだ。然し父は、その薬の服用を承諾しない。母と私とは、父に内証でその薬を買いに行くので、夜中に出かけて、午頃までには帰って来なければならない。

川の堤防にさしかかった頃、もう夜が明けそうだった。道を急がねばならなかった。

人通りもなく、風もなく、生きものの気配もなかった。堤防の一方は深い川で一方は広い水田であるが、それらは目に見えず、葦や篠笹の茂みの中は、トンネルのようだった。茂みの葉先がさらさらと袖に触れ、時々、蜘蛛の糸が顔にかかる。