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のちのなりひらぶんじ

後の業平文治

三遊亭 円朝

線上閱讀三遊亭 円朝《後の業平文治(のちのなりひらぶんじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,545 字 · 216 頁

青空文庫

亥「お前さんばかり口がきけて私(わっち)にゃア少しもく、く、口がきけねえ、旦那、達者でいて下せえよ」

此処(こゝ)へ大橋の方から前橋(まえばし)の松屋新兵衞(まつやしんべえ)が駈付けてまいりましたが、人ごみで少しも歩けませぬ、突退(つきの)け撥返(はねかえ)し、或(あるい)は打たれ或は敲(たゝ)かれ、転がるように駈出しましたが、惜(おし)いかな罪人はあらまし船に乗って、今一度の貝の音でいよ/\出帆するのであります。新兵衞は大声を挙げて、

新「業平橋の旦那ア、業平橋の旦那ア」

役「これ/\静かにしろ、控えろ」

と突退けますので、此方(こっち)から潜(くゞ)って往(い)こうとしますると又突退けられます。向うに亥太郎と文治の姿が見えながら近寄ることが出来ませぬ。新兵衞はふと一策を案じて懐中から金入(かねいれ)を取出し、物をも云わず掴出(つかみだ)しては横目や同心に水向け致しまするが、同心どもは金の欲しいは山々なれども、仲間(ちゅうげん)や重役の前を憚(はゞか)って顔と顔を見合せて居ります。気が急(せ)かれます故、新兵衞は突然(いきなり)一分銀(いちぶぎん)を一掴みパラ/\と撒付(まきつ)けますと、それ金が降って来たと、餓虎(がこ)の肉を争う