輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ふくしゅう

復讐

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《復讐(ふくしゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,806 字 · 20 頁

青空文庫

そこの襖が、開かれたままになってるのである。不思議な気がして、私は立ち止ったが、考えたって分ることではない。

室の中は、スタンドの雪洞の淡い明るみで、靄を溶かしこんだようだった。照代は眠っていた。

臙脂と緑と青の三つの地色に椿らしい花を飛ばした布団が、何の重みもなさそうにふうわりと彼女を覆っていた。タオルをつけたその襟の下に、彼女の顔は半ば隠れ、二枚の敷布団と二つ折りのパンヤの枕の厚みの中に、半ば埋まっていた。かきあげた束髪の毛並は濡れてるような感じで、額と頬の皮膚は脂を拭き去ったような感じである。ふくらみかげんの瞼に少しく赤みがさし、すっきりと高い鼻がへんに白い。すやすやと眠ってると言うのも、言いすぎに思えるほど、寝息がない。

なにか違う。

私は気付いた。枕がいちばん違ってるのだ。春乃家では、彼女はいつも赤い箱枕を使った。二つ折りのパンヤの枕など、彼女について私は想像だにしなかった。寝息がないのもその枕の故だろうか。かすかに酒の匂いのこもった芳ばしい呼吸、時おり胸をふくらますあの呼吸は、どこへ行ったのか。

私は室の入口近く、彼女から少し離れ、両膝をそろえて坐り、彼女の様子をじっと窺ってるのだった。