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こころはおおぞらをおよぐ

心は大空を泳ぐ

小川 未明

線上閱讀小川 未明《心は大空を泳ぐ(こころはおおぞらをおよぐ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 1,813 字 · 4 頁

青空文庫

そして、一同のたのしそうな姿が、ありありと、想像されるのでした。

すると、つぎには、紫色の水平線のもり上がる海が見えました。どこか他国の港から、たくさんの貨物をつんできたのであろうか、汽笛をならして、入ってきた船があります。だんだん、その黒い大きな船が近づくと、日の丸の旗が、風にひらひらとひらめいて、目にしみるのでした。

「万歳……。」と、申し合わせたごとく、みんなのさけぶ声が、勇吉の耳に聞こえたのです。しばらく、彼は、うっとりとしていました。やがて、想像の夢からさめると、つばめもどこへか飛び去って、いませんでした。じっとして、家にいられなかったので、だれか友だちがいないものかと、学校のそばまで、走っていきました。

べつに、自分の知ったものとも、あいませんでした。ただ、広い運動場に、こいのぼりが立って、高いさおのいただきに、赤と黒の二匹のこいが、生きているように、大空を泳いでいました。彼はしばらく、その下に、たたずんで見上げているうち、自分がその黒い一ぴきのこいに、なったような気がしたのです。

若葉のけむるような林を、波だて、ふいてきた風が、

「さあ、はやく、いっしょにいこうよ。