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ちゅうぎ

忠義

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《忠義(ちゅうぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,171 字 · 27 頁

青空文庫

などと呼ばれていたのも、完くこの忠諫を進める所から来た渾名である。

林右衛門は、修理の逆上が眼に見えて、進み出して以来、夜の目も寝ないくらい、主家のために、心を煩わした。――既に病気が本復した以上、修理は近日中に病緩の御礼として、登城しなければならない筈である。所が、この逆上では、登城の際、附合の諸大名、座席同列の旗本仲間へ、どんな無礼を働くか知れたものではない。万一それから刃傷沙汰にでもなった日には、板倉家七千石は、そのまま「お取りつぶし」になってしまう。殷鑑は遠からず、堀田稲葉の喧嘩にあるではないか。

林右衛門は、こう思うと、居ても立っても、いられないような心もちがした。しかし彼に云わせると、逆上は「体の病」ではない。全く「心の病」である――彼はそこで、放肆を諫めたり、奢侈を諫めたりするのと同じように、敢然として、修理の神経衰弱を諫めようとした。

だから、林右衛門は、爾来、機会さえあれば修理に苦諫を進めた。が、修理の逆上は、少しも鎮まるけはいがない。寧ろ、諫めれば諫めるほど、焦れれば焦れるほど、眼に見えて、進んで来る。現に一度などは、危く林右衛門を手討ちにさえ、しようとした。