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おんりょうしゃくよう

怨霊借用

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《怨霊借用(おんりょうしゃくよう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,803 字 · 38 頁

青空文庫

その提灯に火を点してやらなかったそうでござりますな。――後での話でござりますが。」

「おやおや、しかし、ありそうな事だ。」

「はい、その提灯を霞の五番へ持って参じました、小按摩が、逆戻りに。――(お桂様。)うちのものは、皆お心安だてにお名を申して呼んでおります。そこは御大家でも、お商人の難有さで、これがお邸づら……」

嚔の出損った顔をしたが、半間に手を留めて、腸のごとく手拭を手繰り出して、蝦蟇口の紐に搦むので、よじって俯むけに額を拭いた。

意味は推するに難くない。

欣七郎は、金口を点けながら、

「構わない構わない、俺も素町人だ。」

「いえ、そういうわけではござりませんが。――そのお桂様に、(暗闇の心細さに、提灯を借りましたけれど、盲に何が見えると、帳場で笑いつけて火を貸しません、どうぞお慈悲……お情に。)と、それ、不具根性、僻んだ事を申しますて。お上さんは、もうお床で、こう目をぱっちりと見てござったそうにござります。ところで、お娘ごは何の気なしに点けておやりになりました。――さて、霞から、ずっと参れば玄関へ出られますものを、どういうものか、廊下々々を大廻りをして、この……花から雪を掛けて千鳥に縫って出ましたそうで。