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かいじんにじゅうめんそう

怪人二十面相/少年探偵団

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《怪人二十面相/少年探偵団(かいじんにじゅうめんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 212,130 字 · 422 頁

青空文庫

おびただしい古名画ばかりになってしまいました。

左門老人は気ちがいのような美術収集家だったのです。美術といってもおもに古代の名画で、雪舟とか探幽とか、小学校の本にさえ名の出ている、古来の大名人の作は、ほとんどもれなく集まっているといってもいいほどでした。何百幅という絵の大部分が、国宝にもなるべき傑作ばかり、価格にしたら数十億円にもなろうといううわさでした。

これで、日下部家のやしきが、お城のように用心堅固にできているわけがおわかりでしょう。左門老人は、それらの名画を命よりもだいじがっていたのです。もしや泥棒にぬすまれはしないかと、そればかりが、寝てもさめてもわすれられない心配でした。

堀を掘っても、塀の上に針を植えつけても、まだ安心ができません。しまいには、訪問者の顔を見れば、絵をぬすみに来たのではないかとうたがいだして、正直な村の人たちとも、交際をしないようになってしまいました。

そして、左門老人は、年中お城の中にとじこもって、集めた名画をながめながら、ほとんど外出もしないのです。美術にねっちゅうするあまり、お嫁さんももらわず、したがって子どももなく、ただ名画の番人に生まれてきたような生活が、ずっとつづいて、いつしか六十の坂をこしてしまったのでした。