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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

線上閱讀海野 十三《怪塔王(かいとうおう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 頁

青空文庫

今もどこかにその本があるかも知れない。帆村探偵というのは、理学士かなんかで、なかなか新しい探偵術をもって、科学応用の悪人を征伐してあるくという変り者だ。だから彼がわが軍艦淡路の事件で、この土地にやって来たからには、きっと相当に活躍するだろうと思うんだ。僕は、それをひそかに期待していたんだが、彼が別荘に帰って来ないというのは、どうも変だね」

そういって塩田大尉は、思いいれもふかく首をかしげた。

それから暫くたっての後であった。

階段を急ぎ足でかけおりてきたのは、小浜兵曹長であった。ふうふうとあらい息をはきながら、駈けこんだのは士官室だ。

「塩田大尉、た、たいへんです」

テーブルを前に、この事件をその後どうしらべるかについて考えこんでいた大尉は、小浜兵曹長のあわてた顔をじっとみあげ、

「なんだ小浜。また鶏のようにあわてとるじゃないか」

「いや、あわてるだけのことはありますよ。私は酉の年ですからね」

「酉年は知っている。大変の方はどうしたのか」

「そ、それです。塩田大尉、すぐ甲板へあがってください。貴下でもきっと顔色をかえられるような、たいへんなことが起っています」