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きょうりゅうとう

恐竜島

海野 十三

線上閱讀海野 十三《恐竜島(きょうりゅうとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 98,662 字 · 199 頁

青空文庫

地震とともに、沼の水面に波紋が起ったことは前にのべたとおりだが、二度目の地震のときは、その波紋の中心にあたるところの水面が、ぬーッともちあがった。

いや、水面がもちあがるはずはない。水の中にもぐっていたものが浮きあがったのであろうが、その色は赤黒く、大きさは疊三枚ぐらいもあり、それがこんもりとふくれあがって河馬の背中のようであったが、河馬ではなかった。

というわけは、その茶褐色の楕円形の島みたいなものの横腹に、とつぜん窓のようなものがあいたからである。その窓みたいなものが、密林のしげみをもれる太陽の光線をうけて、ぴかりと光った。

それは一しゅんかん、探照灯の反射鏡のように見えた。それからまた巨大なる眼のようにも見えたが、まさか……

が、とつぜんその赤黒い島は、水面下にもぐってしまった。その早さったらなかった。電光石火のごとしというたとえがあるが、まさにそれであった。

それのあとに新しい波紋がひろがり、それからじんじんゆさゆさと、次の地震が起ったのであった。

いったい沼のまん中で浮き沈みした赤黒い島みたいなものは、何であったろうか。

玉太郎もラツールも、目をつぶってだきあっていたから、この重大なる沼の怪事をついに見落としてしまった。